原理原則ゴルフ

コース設計の原理/コースガイド

廣野ゴルフ倶楽部

兵庫県三木市/開場1932年

設計:C.H.アリソン(チャールズ・ヒュー・アリソン)

C.H.アリソンが約1週間で設計を完成させたとされる、パー72・チャンピオンティ7,015ヤードの松林コース。深いアリソンバンカーが刻む戦略性の高さから、国内外で日本を代表するコースの一つと評される。2019年にはマーティン・イーバートによる大規模改修が行われた。

廣野ゴルフ倶楽部は1932年6月19日、兵庫県三木市に開場した。設計を手がけたのはイギリスの名匠C.H.アリソンで、1930年から31年にかけての来日時、神戸オリエンタルホテル滞在中に約1週間で設計をまとめ上げたと伝えられている。松林に囲まれた丘陵地に、渓流によって刻まれたうねりのある地形を活かし、幅広いコリドー(打球の通り道)を切り開いて尾根の頂上付近にグリーンを配置する設計手法が随所に見られる。

最大の特徴は、アリソンが日本に持ち込んだ深いポットバンカー——今日「アリソンバンカー」と呼ばれる戦略的バンカー群である。人の身の丈を超える深さで、コースの随所、特に5番・7番・17番の3つのパー3で最も強烈な形で現れる。単なる罰打エリアではなく、グリーンを狙うライン取りそのものを規定する障害物として機能しており、廣野を攻略する鍵はまずこのバンカーの位置と大きさを正しく把握することにある。2019年にはイギリスの設計家マーティン・イーバートによる大規模改修が行われ、フェアウェイの幅とアリソンバンカーの荒々しさを設計当初に近い姿へ復元する方向で手が加えられた。

コースレートは74。海外のゴルフ建築評論(Golf Club Atlas)では「アジア最高のコース」と評されることが多く、国内でも米ゴルフダイジェスト誌の「世界のゴルフコース100」で日本国内トップの座を維持し続けているとされる。以下のホール別解説は、初めて廣野をラウンドするプレーヤーが、事前にバンカーの位置とグリーン周りの傾向を頭に入れ、スコアメイクの判断材料にできるようまとめたものである。ヤーデージはチャンピオンティ/レギュラーティ/レディースティの順で記載する。

各ホールのヤーデージ・レイアウト・マネジメント

1番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

1番 パー5・502/487/473ヤード

比較的フラットな地形で始まる、いわば「深呼吸のできる」オープニングホールとされる。とはいえ廣野の一日は長く、最初のホールで難しいラインを無理に攻める必要はない。ティショットはまずフェアウェイキープを最優先し、2打目・3打目でグリーン周りのバンカー配置を見ながら刻むか攻めるかを判断する組み立てが安全策になる。

2番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

2番 パー4・453/410/348ヤード

フェアウェイの手前に対角線状のクロスバンカーが配置され、実際の距離感を狂わせる視覚的な仕掛けがあるホール。バンカーを避けようと安全に打ったつもりが、逆にグリーンへの残り距離とアプローチ角度を悪くしてしまうことがあるため、ティショットの前にバンカーの実際の位置をヤーデージ表や距離計で確認しておきたい。グリーン周りには地面よりも低い位置に切られたバンカーもあり、アプローチは浅いラインを避け、しっかりグリーンの奥行きを使う打ち方が安全とされる。

3番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

3番 パー4・461/403/376ヤード

ShotNaviのホールマップでは、グリーン奥を囲むように池が配置されていることが確認できる(公式サイト等での裏付けまでは取れていないため、現地ではキャディまたはヤーデージブックで最新の状況を確認してほしい)。あわせてフェアウェイ左サイド、残り280〜330ヤード付近にもバンカー群が確認できる。距離のあるパー4のため、2打目はミドルアイアン以上を持つことになりやすく、池を避けるなら手前から刻んでグリーンを狙う判断も選択肢に入れておくとよい。

4番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

4番 パー4・451/395/368ヤード

ShotNaviのホールマップでは、フェアウェイ左中央、残り300〜350ヤード付近にバンカー群が確認できる(公式資料での裏付けまでは取れていない)。ヤーデージから見ると距離のあるパー4であり、ティショットの正確性が2打目のクラブ選択を左右する点は他の長いパー4と共通する。バンカーを避けつつ極力フェアウェイキープを優先し、無理に距離を狙わない組み立てが無難と考えられる。

5番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

5番 パー3・152/135/127ヤード("渓谷"を越えるホール)

谷(渓谷)を越えて打つ、廣野で最もアリソンバンカーの威圧感が強いホールの一つ。造成当初は荒々しい3つのバンカーが配されていたが、現在は2つに整理されている。距離自体はそれほど長くないが、谷を越える視覚的なプレッシャーと深いバンカーの組み合わせで、実際の番手よりも大きめのクラブを選んでしまいがちなホールとされる。まずはグリーンセンター、できればやや奥めを狙う番手選びが安全策になる。

6番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

6番 パー4・425/394/362ヤード(愛称"アルプス")

高低差はわずか十数フィート程度しかない平坦に近い区画だが、バンカー配置だけで戦略性を作り出したアリソンの設計手腕が発揮されたホールとされる。スコットランドのプレストウィックにある同名ホールから着想を得たと伝えられる。地形の起伏に頼れない分、ティショットの狙いどころをバンカーとの距離感で決める必要があり、事前にホールレイアウトを頭に入れておく価値が特に高いホールと言える。

7番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

7番 パー3・211/171/148ヤード(旧称"デビルズ・ディボット")

造成当初「悪魔の爪痕(デビルズ・ディボット)」と名付けられた、廣野の中でも特に迫力あるバンカー群を持つロングパー3。距離もあり、風の影響を受けやすいホールでもあるため、無理にピンを狙わずグリーン中央を狙って大きなミスを避ける組み立てが、スコアを守るうえで現実的な選択になる。

8番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

8番 パー4・353/332/311ヤード

前半では比較的短いパー4。ShotNaviのホールマップでは、フェアウェイ右サイド残り250〜300ヤード付近に池、その反対の左サイドにバンカー群が確認できる(公式資料での裏付けまでは取れていない)。距離が短い分、ティショットで無理に距離を出す必要は薄く、この2つのハザードを避けられる範囲でグリーンへの残り距離とアングルを優先するクラブ選択が有効と考えられる。

9番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

9番 パー5・542/491/443ヤード

アウトの締めくくりとなるパー5。ShotNaviのホールマップでは、フェアウェイ中央、残り350〜380ヤード付近にバンカー群が確認できる(公式資料での裏付けまでは取れていない)。パー5であることを踏まえ、このバンカーを避けたレイアップ地点を事前に決めておき、3打目でウェッジの距離を残せるようにすると、アウト9ホールをスコアよくまとめやすくなる。

10番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

10番 パー4・351/333/320ヤード

インの入り口となる、比較的短いパー4。ShotNaviのホールマップでは、グリーン周りのバンカーに加え、フェアウェイ中央から左サイド残り250〜300ヤード付近に大きめのバンカー群(6個前後)が確認できる(公式資料での裏付けまでは取れていない)。距離が短いぶん、ティショットは無理に飛距離を求めず、これらのバンカーを避けつつ狙い目のアイアン残り距離を優先する選択が有効と考えられる。

11番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

11番 パー4・458/390/387ヤード

距離のあるパー4。ShotNaviのホールマップでは、グリーン横に単独のバンカーが1つ、加えてフェアウェイ中央から左サイド残り250〜300ヤード付近にバンカー群(5個前後)が確認できる(公式資料での裏付けまでは取れていない)。長いパー4であることを踏まえ、ティショットの正確性を最優先し、これらのバンカーを避けつつ2打目のクラブが長くなることを見越してグリーン奥行きに余裕を持たせる番手選びをしておきたい。

12番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

12番 パー5・596/567/502ヤード(コース最長)

廣野で最も距離のあるホール。ShotNaviのホールマップでは、フェアウェイ中央から右サイド残り250〜300ヤード付近にバンカー群(3個前後)が確認できるが、他のホールに比べると比較的開けた印象のレイアウトである(公式資料での裏付けまでは取れていない)。3打で攻めるプレーヤーがほとんどと考えられる長さのため、このバンカー帯を避けた2打目のレイアップ位置をあらかじめ決めておき、3打目でウェッジの得意な距離を残す組み立てがスコアメイクの基本になる。

13番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

13番 パー3・167/149/126ヤード(愛称"ロッホ・ローモンド")

廣野を代表する名物ホール。半島状に突き出た地形の先端にグリーンが置かれ、そのグリーンは大きな池に向かって傾斜している。「世界で一番絵になるパー3」と評されることもある(この評価自体の一次出典までは特定できていない)。距離は長くないが、グリーンが池側に傾いているため、ピンが池に近い位置にある場合は無理に寄せにいかず、グリーンセンターからやや奥めを狙う安全策が、大叩きを避けるうえで有効とされる。2003年の12番ホール延長工事に伴い、ホールの向きが約90度変わった経緯があり、現在のヤーデージは資料により167ヤードと180ヤードの表記の揺れが見られるため、当日はスコアカードの最新表記を確認しておきたい。

14番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

14番 パー4・388/339/315ヤード

中距離のパー4。ShotNaviのホールマップでは、グリーン周りのバンカーに加え、フェアウェイ中央から左サイド残り250〜300ヤード付近にバンカー群(5個前後)が確認できる(公式資料での裏付けまでは取れていない)。極端な長距離ホールではないため、ティショットはこれらのバンカーを避けつつ正確性を優先し、残りの番手でグリーンを確実に捉える組み立てが無難と考えられる。

15番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

15番 パー5・568/496/456ヤード

印象的な上がりのホール群(15〜18番)の始まり。ShotNaviのホールマップでは、2打目の落としどころとなる残り250〜300ヤード付近、フェアウェイ中央から左サイドにバンカー群(4個前後)が確認できる(公式資料での裏付けまでは取れていない)。パー5として、このバンカー帯を避けた2打目の狙いどころを事前に想定しておき、3打目にウェッジの距離を残すレイアップ地点を決めておくと、終盤の組み立てが楽になる。

16番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

16番 パー4・401/376/366ヤード

アリソンバンカーが「大きく口を開けて待っている」と写真解説記事で表現されるホール。グリーン周りのバンカーの存在感が強く、ティショットの狙い目次第でアプローチの難易度が大きく変わるとされる。事前にバンカーの位置を頭に入れ、アプローチのライン取りに余裕を持たせるティショットを心がけたい。

17番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

17番 パー3・231/210/194ヤード

廣野の中でも特に距離のあるロングパー3で、5番・7番と並びアリソンバンカーの威圧感が強いホールの一つとされる。ロングアイアンやユーティリティでの正確なショットが求められるため、無理にピンを狙わずグリーンセンターを確実に捉える判断が、終盤のスコアを守るうえで重要になる。

18番ホールの模式図
本文に明示された情報のみを反映した簡易模式図(実測図ではありません)

18番 パー4・459/379/353ヤード

距離のある締めくくりのホールで、15〜18番の印象的な上がりのホール群を締めくくる一打として位置づけられる。長いパー4のため、ティショットの正確性を最優先し、2打目は無理にピンを狙わずグリーンを確実に捉える組み立てが、ラウンド全体のスコアをまとめるうえで有効と考えられる。

出典:廣野ゴルフ倶楽部公式サイト(沿革)、Golf Club Atlas、ShotNavi、楽天GORAコース情報、桜ゴルフ会員権ブログ等をもとに構成。4・8・9・10・11・14番の個別ホール特徴、1・3番の一部記述、および海外での「日本のパインバレー」という愛称・過去の世界ランキング順位は、複数ソースでの裏付けが取れなかったため一次資料として断定していない。現地でのプレー前には最新のヤーデージブック・コース図での確認を推奨する。