原理原則ゴルフ

クラブの原理変遷史

なぜサンドウェッジは飛行機の翼から生まれたのか——ジーン・サラゼンとバウンスの発明史

バンカーショットを苦手としていた一人のプロゴルファーが、飛行機の翼の仕組みからヒントを得て生み出したとされるのが、現代のサンドウェッジの原型であるバウンス構造だった。

監修・執筆:原理原則ゴルフ編集部編集部

ハワード・ヒューズの飛行機からの着想

プロゴルファーのジーン・サラゼンは、バンカーショットの難しさを解消する方法を模索していたと伝えられている。転機となったのは1931年、実業家ハワード・ヒューズの飛行機のフラップ(翼の後縁部分)を見た際に、着陸時に翼の下面が空気をとらえて機体を持ち上げる仕組みからヒントを得たというエピソードだとされる。この発想を応用し、クラブのソール(底面)後方に鉛を溶接して盛り上げ、砂に潜り込みすぎずに跳ね返る「バウンス」構造を作り出したと伝えられている。

1932年全英オープンでの秘密兵器

サラゼンはこの新しいクラブを1932年の全英オープン(プリンスズ・ゴルフクラブ)で密かに使用したとされる。ある序盤のラウンドでは、グリーン周りの3つのバンカーからそれぞれ1打でグリーンに乗せたという逸話も伝えられており、このクラブを武器に5打差をつけて優勝したとされる。

ウィルソンによる商品化

この画期的なクラブは、その後Wilson Sporting Goodsによって「Wilson R-90」として1933年から商品化されたとされる。ソール後方を盛り上げて跳ね返りを生むバウンス構造という発想は、その後のサンドウェッジ設計の基本原理として現在まで受け継がれている。

よくある質問

「バウンス」とは具体的にどのような仕組みですか。
クラブのソール後方を盛り上げることで、リーディングエッジ(刃先)が砂や地面に深く潜り込みすぎるのを防ぎ、ヘッドが跳ね返るように滑る構造を指すとされる。この発想がサラゼンの発明の核心だったと伝えられている。
サラゼンは全英オープンでこのクラブをどう扱っていたのですか。
当時はまだ珍しい形状のクラブだったため、対戦相手に見つからないよう秘密裏に使用していたという逸話が伝えられているが、詳細な経緯を裏付ける一次資料までは確認できていない。