ルール・用具規定の由来/原理解説
なぜ統括団体は「グルーブ(溝)」を規則として規制するに至ったのか
クラブフェースの溝の形状という、一見地味な仕様が、なぜ2010年に規則として規制されることになったのか。USGAとR&Aの調査から規制導入に至る流れと、「U字溝が禁止された」という誤解の点を整理する。
ラフからのショットが「簡単になりすぎた」という調査結果
USGAとR&Aは、クラブフェースの溝についてラフからのショットへの影響を調査した。USGAとPGA of Americaが公表した解説資料(Q&A)によれば、調査の結果、トッププレーヤーにとってラフからのショットの難易度が下がり、ラフが本来持つ罰則的な性質が弱まっていることが示されたとされる。なお調査の時期は、資料や記事によって「2005年開始、2006〜07年に報告」「2007〜08年に共同実施」と記述が分かれており、本稿では特定していない。
2008年の最終案採択、2010年の施行
USGAとR&Aは2008年8月にグルーブ規則の改正案を採択・発表した。施行は2010年1月1日で、ドライバーとパターを除く全クラブについて、グルーブの断面積(溝容積)の上限が定められた。ロフト25度以上のクラブ(おおむね5番アイアン相当からウェッジ)については、これに加えてエッジの鋭さにも制限が設けられた。
「U字型の禁止」ではない
この改正は、しばしば「U字(スクエア)型グルーブの禁止」「V字型への回帰」と説明される。しかしUSGAの解説資料は、これを誤解として退けている。新規則の数値基準に適合していればU字型の溝も使用でき、使えなくなるのは基準に適合しない溝である。規則が見ているのは断面の形そのものではなく、断面積とエッジの鋭さという数値基準である。
段階的な施行と目的
2010年1月1日以降、新しく製造されるモデルは新規則への適合が必要になった。PGAツアーや全米オープンなどのトップレベル競技では、競技条件(Condition of Competition)として新規則が適用された。既存モデルは2010年末まで製造でき、出荷についての扱いは本稿では確認できていない。この規制の狙いは、ラフからのショットの難しさを取り戻すことにあったとされる。
関連記事:ティーの4インチ規定と高さの物理。
本稿で確認できなかったこと
- USGAとR&Aの調査の正確な時期と、委員会内の具体的な審議内容、メーカーとの調整の詳細。
- 2011年1月以降の旧規格クラブの出荷の扱い。
- USGA公式サイト(usga.org)は取得時にアクセスが拒否され、本文を確認できていない。
出典
- Grooves Rule Explanation(USGA/PGA of America Q&A) https://cdn.cybergolf.com/images/1244/Grooves-Rule-Explanation.pdf(公式資料、本文確認)
- The Rules of Equipment, Part 2: Conformance of Clubs(R&A) https://www.randa.org/en/roe/the-rules-of-equipment/part-2-conformance-of-clubs(公式、要約のみ)
- R&A announces new golf club rules(2008年8月、Pitchcareによる転載) https://www.pitchcare.com/blogs/news/the-r-and-a-announces-new-golf-club-rules(報道、要約のみ)
- USGA Grooves: Common Questions & Answers https://www.usga.org/articles/2014/01/grooves-common-questions--answers-21474861635.html(未確認(アクセス拒否))
よくある質問
- グルーブ規制はなぜ導入されたのですか?
- USGAとR&Aの調査で、ラフからのショットの難易度が下がり、ラフが持つべき罰則的な性質が弱まっていることが示されたためとされています。ラフからのショットの挑戦性を取り戻す狙いがありました。
- グルーブ規制はいつから施行されましたか?
- 2008年8月に規則改正案が採択・発表され、2010年1月1日に施行されました。既存モデルの製造は2010年末まで認められたとされています。
- U字型の溝は使えなくなったのですか?
- USGAの解説資料によれば、禁止されたのではなく、新しい断面積とエッジの基準に適合しないものが使えなくなりました。基準に適合するU字型の溝は使用できます。
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