原理原則ゴルフ

クラブ/歴史と原理原則

パターの歴史と原理原則

1966年のPING Anserによるヒール・トゥ加重の確立以降、パターはブレード型と大型マレット・ヘッド型に分岐しながら、慣性モーメントとアライメント(構えやすさ)を追求してきた。

歴史

現代パターの設計思想における重要な転換点が、PING創業者Karsten Solheimが1966年に発表したAnserパターである。Solheimは、打点がフェース中央から外れてもフェースが開閉しにくいよう重量をヘッドの両端(ヒール・トゥ)に配分するヒール・トゥ加重の考え方を確立し、この設計思想はその後多くのメーカーに模倣されるブレード型パターの原型になったとされる(詳細はメーカーガイド「PING」参照)。

ブレード型に続く大きな潮流が、マレット型・大型ヘッド型パターの発展である。ヘッド後方に大きく重量を配分できるマレット形状は、ブレード型よりも高い慣性モーメント(MOI)を実現しやすく、Odysseyの「2-Ball」(ヘッド上面にボール大の円形を2つ並べたアライメント補助形状)のように、視覚的な構えやすさを訴求する製品も登場した(詳細はメーカーガイド「Odyssey」参照)。また、Scotty Cameronに代表される精密ミーリング製法(削り出しヘッドやフェースの二段階ミーリング加工等)は、打感の均一性・フィードバックの精度を追求する潮流として、ブレード型パターの系譜の中で発展してきたとされる。

原理原則

パターの設計原理は、他のクラブカテゴリと異なり、飛距離ではなく方向性・距離感の再現性が重視される。慣性モーメント(MOI)は、打点がフェース中央からズレた際にヘッドがどれだけ捻れにくいかを表す指標で、マレット型・大型ヘッド型ほど重量を周縁(ヒール・トゥ・後方)に配分しやすくMOIを高めやすいとされる。一方、ブレード型は伝統的にヘッド体積が小さくMOIも小さいが、打感のフィードバックが明確でストローク(振り子運動)の感覚をつかみやすいという評価がなされることがある。

ネック形状(シャフトとヘッドの接続部の形状・位置)も設計上重要な要素とされ、ネックの位置によってヘッドの重心位置とシャフト軸線の関係(トウダウン特性や芯の見え方)が変化し、ストロークの軌道(インサイド寄りかストレート寄りか)との相性が変わるという考え方が一般的に語られている。フェース素材(インサート)についても、柔らかいウレタン系素材と硬めの金属系素材とで打感・打球音・打ち出し初速の再現性が異なるとされるが、これらの適性はストロークの個人差が大きく、統一的な優劣があるわけではない点には留意が必要である。

出典: PING公式沿革ページ、Wikipedia(英語版 PING Anser)、golflink.com(2-Ball形状の経緯)。ネック形状・インサート素材とストロークの相性に関する説明は業界内の一般的な解説に基づく。

パターの代表モデル

  • Anserパター

    1966年発表。ヒール・トゥ加重(重量を両端に寄せる周辺加重)の思想を体現したブレード型パターで、「史上最も模倣されたパターデザイン」と評されることがある。

  • White Hot 2-Ballパター

    2つの円形が並んだ独特の外観でアライメント(構え時の見え方)を補助する高慣性モーメント型マレットパター。White Hotウレタンインサートによる柔らかい打感でも知られる。

  • Newport 2パター

    303ステンレス鋼から削り出す精密ミーリング製法によるブレード型パター。Scotty Cameronを代表する形状の一つで、フェースの二段階ミーリング(デュアルミル)加工などを特徴とする。

  • Spiderパター

    2008年発売とされる初代「Monza Spider」を起点とする高慣性モーメントのマレット型パターシリーズ。セルジオ・ガルシアやロリー・マキロイら多くのツアープロが使用し、近年のツアーで最も見かける形状の一つと評されることがある。