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クラブの原理/原理解説

シャフトのR・SR・Sはなぜ統一規格がないのか——測り方と設計から読む

R・SR・Sという表記に統一規格がないのはなぜか。規則・測り方(振動数など)・設計の三つの面から整理し、表記の外で何を見ればよいかを確認する。

監修・執筆:原理原則ゴルフ編集部(編集部)

Rは本当に「同じ硬さ」なのか

シャフトの硬さはL・A・R・SR・S・Xという記号で表されるのが一般的である。ところが、「同じRでもメーカーやモデルによって実際の硬さは変わる」という説明が、メーカー・メディアのどちらにも繰り返し出てくる。本稿は、なぜ統一規格がないのかを、規則・測り方・設計の三つの面から整理する。表記の見方と選び方の確認項目はシャフトの硬さ・重量・トルクの選び方の記事で扱っているため、ここでは理由に絞る。

理由1:ルールは硬さの等級を決めていない

R&Aの用具規則(Part 2、2.2b)が定めているのは、シャフトの曲がり方とねじれ方が対称であることである。具体的には、シャフトをどの向きに回しても曲がり量が同じであること、どちらの方向にも同じだけねじれることが求められる。確認した範囲では、「Rは何cpm」「Sは何cpm」のような硬さの等級を決める条文は見当たらなかった。長さの上限などは規則にあるが(ドライバーの長さ規制の記事)、硬さの表記は競技規則の外にあり、各社が自由に決めている。

理由2:「硬さ」は一つの数字で測れない

シャフトの硬さを数値にする方法は複数あり、測っているものが違う。

  • 振動数(cpm):グリップ側を固定し、ヘッド側を揺らして1分間の往復回数を数える。完成クラブの状態で測られることが多い(ゴルフスケール)。主に手元側の硬さを反映するとされる(ゴルフダイジェスト)。
  • CF(センターフレックス):シャフトの中間部を曲げたときの硬さで、数字が大きいほど硬いとされる。
  • 中央を押して曲がり量を見る方法:グラファイトデザインは、機械でシャフトの中心部を押してたわみで決めると説明している。
グリップ側を固定ヘッド側揺らして往復回数を数える1分間あたりの往復回数 = 振動数(cpm)
模式図。実際の計測機器の構造を示すものではない。完成クラブの状態で測ることが多いとされる。

さらに、振動数はクラブの長さで値が変わる。ミズノの公式ページは、ウッドとアイアンの長さごとに別々の振動数の表を載せており、基準はミズノ独自のものとして書かれている(ISO等の規格名の記載は確認できなかった)。同じシャフトでも、長さやヘッド重量が変われば振動数も変わる。

理由3:硬さは分布で、表記は一つしかない

シャフトの硬さは、手元・中間・先端で一様ではない。フジクラの公式サイトは、先端・中間・手元の剛性を5段階で示すプロファイルや、先端剛性・手元剛性・トルク・調子(ベンドポイント)などを別々の列で公開している。つまり、設計上は複数の特性があり、R・Sといった一つの記号はそれを大きく丸めたものである。同じR表記でも、フジクラのスペック表にはVENTUS Red 5(R)とPRO Blue 50(R)が並び、先端側の硬さの値は同じ110でも、重量(59.5gと57g)やトルク(3.6と4.6)が異なる。

ミズノも、トルク・質量・ヘッドの設計や硬さが変われば、同じフレックスでも性能が異なると説明している。調子(しなる位置)との関係はキックポイントの記事を参照してほしい。

理由4:同じ会社の中でも、位置づけが違う

表記は、そのモデルのシリーズの中での相対的な位置を示す側面がある。ゴルフダイジェストは、メーカー純正シャフトと、シャフトメーカーのリシャフト用シャフトを比べると、同じ表記でもリシャフト用のほうがかなり硬めに仕上がっていると指摘している。また、プロジェクトXは数字(5.0・5.5・6.0など)で硬さを表す独自体系で、通常のS表記より硬めとされることがある(小売店の解説)。

硬さ(左:柔らかい → 右:硬い)A社RSB社RSC社RS同じ硬さの位置
概念図。メーカーA・B・Cは架空で、位置は実在の製品の値ではない。「同じ表記が同じ硬さとは限らない」ことを示すための図である。

表記ではなく、何を見ればよいか

  • 可能なら振動数(cpm)を確認する。あるサイトの目安では、ドライバーで230〜250cpm程度がR相当、250〜270cpm程度がS相当とされるが、実測値はシャフトや計測条件で変わる(ゴルフスケール)。
  • 振動数は完成クラブ(長さ・ヘッド重量込み)の値か、シャフト単体の値かを確かめる。
  • 重量・トルク・調子も併せて比べる(選び方の記事)。
  • 素材の違い(スチールとグラファイト)による感じ方は比較記事、スチール化の歴史はスチール化の記事を参照。

本稿で確認できなかったこと

  • 各社がどの基準で「R」「S」を割り当てているかの公式な社内基準は公開されておらず、確認できなかった。
  • 日本シャフト・三菱ケミカル・UST Mamiya各社の公式サイトでの測定方法の説明は、確認できなかった。
  • 振動数とヘッドスピードの対応表は、メディアごとに異なり、公的な基準は確認できなかったため、数値の対応は載せていない(上記の目安は一つのサイトの例)。
  • プロジェクトXの硬さの位置づけは小売店の解説に基づき、メーカー公式の確認はできていない。
  • ゴルフダイジェストの記事の公開時期は確認できておらず、現行モデルに当てはまるとは限らない。

出典

  1. R&A. The Equipment Rules, Part 2 Conformance of Clubs(2.2b). https://www.randa.org/en/roe/the-rules-of-equipment/part-2-conformance-of-clubs
  2. MIZUNO CLUB ORDER. シャフトについて. https://jpn.mizuno.com/cm/cluborder/static/function/about_shaft.html
  3. Fujikura Golf. Shaft Profile Guide / Shaft Specs. https://fujikuragolf.com/shaft-profile-guide/ ・ https://fujikuragolf.com/shaft-specs/
  4. グラファイトデザインが解説「ゴルフクラブシャフト」選びの秘訣(ルコックスポルティフゴルフ). https://www.descente.co.jp/media/brand/lecoqsportif_golf/18373/
  5. ゴルフダイジェスト・レッスン. シャフト特集(フレックスの基準). http://lesson.golfdigest.co.jp/gear/special/shaft/index03.html
  6. シャフトの振動数(cpm)とは(ゴルフスケール). https://golfscale.jp/spec/shaft/frequency
  7. Project X Flex Codes Explained(Grips4Less). https://www.grips4less.com/pages/project-x-flex-codes

図は概念図であり、実在の製品の数値ではない。振動数の目安・各社の位置づけは解説サイト等に基づき、メーカーの公式規格ではない。

よくある質問

R・SR・Sに公式な統一規格はありますか?
R&Aの用具規則はシャフトの曲がり・ねじれが対称であることを求めているが、確認した範囲ではR・Sといった硬さの等級を定める規定は見当たらなかった。各メーカーが独自の基準で表記しているとされる。
振動数(cpm)が分かれば、メーカーが違っても比べられますか?
比較の手がかりにはなるが、完成クラブかシャフト単体か、クラブの長さ、ヘッド重量などの測定条件が揃っていることが前提である。また、振動数は主に手元側の硬さを反映するとされ、先端側や重量・トルクは別に確認する必要がある。

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