クラブの原理/変遷史
ミサイル追尾の技術者はなぜゴルフに転じたのか——TrackMan誕生の経緯
もともとミサイルなど飛翔体の追尾を専門とするレーダー技術者が、ゴルファー兄弟の依頼で開発に加わったとされるTrackMan。フィッティングとレッスンの現場を変えた計測技術の起点を追う。
兄弟とレーダー技術者の出会い
TrackManは2003年、ゴルファー兄弟のクラウス・エルドルップ=ヨルゲンセンとモーテン・エルドルップ=ヨルゲンセン、そしてレーダー技術者フレドリック・トゥクセンによって創業されたとされる。トゥクセンはもともとミサイルなどの飛翔体の追尾にドップラーレーダーを用いる専門家だったとされ、兄弟がこの技術をゴルフボールの追跡に応用できないかと持ちかけたことが開発のきっかけになったとされる。
ツアーへの導入
TrackManは2006年、PGAツアーで初めて使用されたとされる。弾道の打ち出し角・スピン量・軌道といった数値を高精度で計測できる技術は、それまで目視や経験則に頼っていたクラブフィッティングやスイングレッスンの現場に、定量的なデータという新しい軸を持ち込んだとされる。
フィッティングへの影響
弾道計測器の登場以前、クラブフィッティングはライ角・ロフト角・スイングウェイトといった物理的な計測を中心に行われてきたとされる。TrackManのような弾道計測技術の普及により、実際に打ったボールの挙動を数値で確認しながら調整する手法が広がったとされるが、フィッティング手法全体がいつ・どのように転換したかを直接論じた一次資料には、今回の調査では到達できておらず、この点については明確な結論を避けている。
関連記事:ローンチモニター計測技術の変遷。
よくある質問
- TrackManはどのような経緯で開発されましたか?
- 2003年、ゴルファー兄弟のクラウス・エルドルップ=ヨルゲンセンとモーテン・エルドルップ=ヨルゲンセン、そしてミサイル等の追尾を専門とするレーダー技術者フレドリック・トゥクセンによって創業されたとされます。
- TrackManがPGAツアーで使われ始めたのはいつですか?
- 2006年にPGAツアーで初めて使用されたとされます。
関連記事
- なぜユーティリティクラブは「逆さソール」から生まれたのか——ハイブリッド誕生の変遷史
現在では多くのゴルファーに定着したユーティリティ(ハイブリッド)クラブ。その原型となった発想は、ロングアイアンの打ちにくさを解決しようとした一本のフェアウェイウッドから始まったとされる。
- ミサイル追尾レーダーがゴルフを変えた日——ローンチモニター計測技術の変遷
ボール速度・打ち出し角・スピン量というローンチモニターの三要素は、もともと軍事用ミサイル追尾レーダーの技術者が開発に関わったことで実用化が進んだという経緯がある。
- なぜ「鉄のウッド」は非常識と笑われたのか——TaylorMadeが起こした金属ウッド革命
1979年まで、ゴルフのウッドは文字通り「木(パーシモン)」で作られるのが常識だった。ゴルフ用品の営業マンだったGary Adamsが自宅を担保に開発した1本のステンレス製ドライバーが、なぜこの常識を覆したのかを解説する。
- なぜタイヤメーカーがゴルフクラブを作るのか——ブリヂストンスポーツの多角化変遷史
自動車用タイヤの製造技術と、ゴルフクラブ・ボールの製造には、一見すると接点がないように見える。ブリヂストンがタイヤ事業からゴルフ用品事業へと多角化していった経緯と、その背景にある技術的な必然性を解説する。
- ゴルフ用レーザー距離計の選び方——GPSとの違い、高低差機能、競技での扱い
レーザー式とGPS式の測り方の違い、高低差機能の仕組み、R&A規則4.3a(1)とJGAローカルルールG-5での競技使用、手ブレ補正・ピン捕捉・倍率の選び方を、公式情報から整理する。