コース設計の原理/原理解説
なぜ「リダン」は北ベリックからゴールデンエイジ全土に複製されたのか——テンプレートホールの原理
スコットランド・北ベリックの15番ホールを原型とする「リダン」は、ゴールデンエイジの設計家たちが最も繰り返し複製したテンプレートホールとされる。斜めに構えたグリーンが要求する設計原理を見る。
北ベリックに生まれた原型
「リダン(Redan)」の名は、スコットランドのウェスト・リンクス(北ベリック)にある15番ホールに由来するとされる。パー3でありながら、グリーンがティーに対して斜めに構えられ、右手前から左奥に向かって傾斜し、周囲を深いバンカーが囲む構成が特徴とされる。「リダン」自体はもともと軍事用語で、V字型に突き出た防御陣地を指す言葉だったとされ、ホールの形状がこれに似ていたことが名称の由来という説がある。
設計原理としてのリダン
リダンの核心は、グリーンをティーショットに対して斜め(オブリーク)に配置することで、同じピン位置でも攻め方によって難易度が大きく変わる点にあるとされる。特に左奥のピン位置は、グリーン右奥から手前左に落ちる傾斜と側面のバンカーによって最も難しいとされ、安全に右サイドを狙うか、傾斜を利用して転がし込むかという戦略的選択をプレーヤーに迫る設計とされる。
ゴールデンエイジ全土への複製
C.B.マクドナルドとセス・レイナーは、自らが設計したナショナル・ゴルフ・リンクス・オブ・アメリカをはじめとする複数のコースに、この「リダン」を繰り返し取り入れたとされる。彼らはリダンやアルプス、ビアリッツといった著名なリンクスホールの構成要素を抽象化し、異なる土地条件に合わせて再構成する「テンプレートホール」という設計手法を確立したとされ、その代表格がリダンだったとされる。厳密な複製ではなく、原理を移植する手法だった点には留意が必要とされる。
関連記事:テンプレートホールとストラテジック設計の原理、アルプスと丘越えのブラインドショット、ナショナル・ゴルフ・リンクスの設計原理。
よくある質問
- 「リダン」という名前の由来は何ですか?
- 軍事用語でV字型に突き出た防御陣地を指す「Redan」に由来するとされ、ホールの形状がこれに似ていたことが名称の由来という説があります。
- リダンホールの最大の特徴は何ですか?
- グリーンがティーショットに対して斜めに構えられ、右手前から左奥へ傾斜している点とされます。同じピン位置でも攻め方によって難易度が大きく変わる戦略性が特徴です。
関連記事
- 丘を越えてグリーンを狙う——「アルプス」テンプレートの原理(プレストウィック起源)
グリーンの手前に人工的な丘を配置し、セカンドショットを「ブラインド」にする「アルプス」ホール。視界を奪う設計はなぜ戦略性を生むとされるのか、プレストウィックの原型から見る。
- 一度も現地を見ずに名物ホールを再現する——セス・レイナーのテンプレート手法
測量技師からコース設計家に転じたセス・レイナーは、リダンやビアリッツといったテンプレートホールを独立後だけで80余りのコースに再現したとされる。その手法はどのように確立されたのか。
- 「ビアリッツ」はなぜグリーンを谷で分断するのか——スウェール設計の原理と変遷
巨大なグリーンの中央を深い谷(スウェール)が横切る「ビアリッツ」ホール。フランスの海岸コースに着想を得たとされるこのテンプレートは、なぜグリーン内に高低差をつくる設計を選んだのか。
- 「コピー」でありながらなぜ独創的と評されるのか——ナショナル・ゴルフ・リンクスの設計原理
英国の名物ホールを模した複数のテンプレートホールで構成されたナショナル・ゴルフ・リンクス・オブ・アメリカ。単なる「コピー」ではなく独創的な一作と評されるのはなぜか。
- 「移植」か「隠蔽」か——テンプレートホールとカモフラージュ設計、二つのゴールデンエイジ
C.B.マクドナルドとセス・レイナーは名ホールの型を各地に「移植」し、アリスター・マッケンジーは人工物を自然に「隠す」ことを追求した。同じゴールデンエイジに並存した対照的な設計思想を比較する。