ゴルフボールの原理/原理解説
なぜゴルフボールにはくぼみがあるのか——ディンプルとマルチピース構造の原理
表面が滑らかなボールより、くぼみだらけのボールの方がなぜ遠くまで飛ぶのか。空力学のディンプルと、コア・カバー・中間層の役割分担で成り立つマルチピース構造という、二つの原理からゴルフボールの飛び方を読み解く。
監修・執筆:原理原則ゴルフ編集部(編集部)
ディンプルという空力装置
ゴルフボール表面の無数のくぼみ「ディンプル」は、単なる意匠ではなく、飛行中の空気抵抗を減らすための空力装置である。ボール表面近くの薄い境界層をあえて乱流化させることで、気流の剥離点を後方に押しやり、ボール後方にできる後流(ウェイク)を縮小して圧力抵抗を低減する仕組みで、表面が滑らかなボールに比べて大幅に遠くまで飛ばすことができるとされる。加えて、バックスピンによってボール上面と下面で空気の流速差が生まれ、上面側の圧力が下がることで揚力(マグヌス効果)が発生し、これが滞空時間や弾道の高さに影響する。現代のゴルフボールは概ね300〜500個程度のディンプルを持つのが一般的である。
コア・カバー・中間層——マルチピース構造
もう一つの原理が、コア(核)・カバー・中間層(マントル層)の層数で分類されるマルチピース構造である。
- 2ピースボール——固形ラバーコアに硬めのアウターカバーを組み合わせた構造。直進性が高くスピン量が少なめになる傾向があり、初心者向けや飛距離重視のモデルに多い。
- 4〜5ピースボール——低スピン用と高スピン用の複数のコア層に薄いウレタンカバーを組み合わせる。ドライバーでは低スピンで飛距離を稼ぎつつ、グリーン周りのアプローチでは高スピンをかけられるという相反する性能の両立を狙う。
2000年に発売されたTitleist Pro V1は、こうしたソリッドコア・マルチレイヤー構造にウレタンカバーを組み合わせたツアーボールの先駆けとされ、発売直後にPGAツアーで多くのプロが一斉に切り替えたと伝えられている。
ボール選びの原理
ボール選びの原理は、この二つの要素——ディンプルによる弾道特性と、ピース数によるスピン特性——を自分のヘッドスピードやショートゲームの技量に合わせて選ぶことに尽きる。なお、ボールの硬さを示す「コンプレッション」という指標もあるが、業界で統一された測定規格は存在せず、メーカーごとに基準がやや異なる点には注意しておきたい。
よくある質問
- ディンプルの数が多いほど飛ぶのですか?
- 単純に数が多いほど飛ぶわけではありません。深さ・直径・数のバランスによって摩擦抵抗と空力抵抗が変化し、一定範囲内であれば空力抵抗の減少効果が上回って飛距離向上に寄与するとされています。
- ピース数が多いボールは初心者には不向きですか?
- 一概にはいえませんが、5ピースボールなど多層構造のツアーボールは高いヘッドスピードとショートゲームでのスピン操作を前提に設計されていることが多く、ヘッドスピードが遅めのゴルファーは2〜3ピースの低スピン系ボールの方が扱いやすい場合があります。
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